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日本のもの造り哲学

トヨタ生産方式を読んだ後はこの本です。学術的な本です。


日本のもの造り哲学

日本のもの造り哲学


「日本のもの造り哲学」
藤本隆宏 日本経済新聞社
1600円+税


◎読んだ理由
製造業の会社に勤めていますので、その点の新しい見識ができるとよいと思って読みました。


◎本の内容
章を追ってみていくと、1.日本のもの造りしっかりと捉える、2.日本の企業は本社が弱い、3.日本の強い工場、4.「アーキテクチャ」論、5.世界のもの造り考察、6.日本企業のとるべき戦略、といった感じです。


ひとまずは読み始めから、なるほど、と思わされることの連続でした。

世間一般(特にマスコミ)によって言われる日本産業についての考察は、日本製造業を一括りにしすぎていてしっかりとした考察になっていないこと。日本の製造業は品質管理がよくなされていて強い現場であるものが多いが、本社の戦略はうまくないこと。製造業にはしっかりした設計が必要な擦り合わせ型と、設備さえあれば誰でも作れる組み合わせ型があり、それを元に製造業の戦略を考える必要があること。

日本以外の各国の製造業についての考察もあり、特に中国については1章を割いて解説されています。


読みやすい本かと問われれば、読みにくい本だと思います。上に書いたものを見ても、なんだかお堅いことばっかりだな、という感じがありますよね。これまで紹介した本に比べ本の字が小さいためか、なかなか読み進みません。これは、作者が学者だから、ということが一因としてあると思います。専門書を読むようなお堅さがでてきているのです。しかし、その分内容はしっかりしていますし、これで1600円というのは買って損のないお値段です。

製造業といえばこれ、ということで前々回「トヨタ生産方式」を紹介しましたが、それを読み終えて余力のある方はこの本をぜひ読みましょう。日本の強い現場についての考えをさらに深くすることができます。擦り合わせ型、といった製造業に対する考え方は、「ガラパゴス化する日本の製造業」などの本にもみられる考え方です。


◎私への影響
製造業に対する見識がついたかについては、確実にこの本を読んで見識は深くなったといえます。

ほかに、マスコミには流されないようにしようと思いました。
たとえば、今は「エコ」と「中国進出」がさかんに言われていますが、なんの戦略もなしにこれらの分野へと進んでも、おそらく痛い目をみて終わりです。こういった分野に手を出してもよいのですが、そのためにはしっかりとした戦略、方針をもって挑む必要があるのです。


◎その他
この本は2004年の出版で、5年前の本です。しかし、今でも十分通用する考えが書かれています。タイトルとなっている”哲学”について、”ぶれない思想”といったニュアンスで使っていると作者は述べていますが、まさにその通りだと思います。この本の内容に賛同できない人もいると思いますが、しかし、製造業にかかわる者であれば是非とも読みたい本です。