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在庫を減らしてキャッシュを改善しよう

というわけで在庫を減らす本の紹介です。



在庫ゼロリードタイム半減TOCプロジェクト―究極のムダとりに挑んだ3社の実例

在庫ゼロリードタイム半減TOCプロジェクト―究極のムダとりに挑んだ3社の実例


在庫ゼロ リードタイム半減
 TOCプロジェクト
 究極のムダとりに挑んだ3社の実例」
村上悟 石田忠由 井川伸治
中経出版 1300円+税




◎読んだ理由
最近、在庫を管理する部署に配属されました。そのため、在庫に関する本をたくさん購入して読んでおり、その中で当書を見つけました。






◎本の内容






TOCは製造業以外にも応用できます
TOCとはTheory of Constraintsの略です。直訳すると、制約条件の理論。簡潔に言うと、「利益最大化を実現するためには制約条件を改善すべきだ」という考え方です。制約条件とは、全体を一連の流れで見たときに、一番弱い部分を言います。鎖の強度は、一番弱い部分で決まります。ほかがどれだけ強くても、一番弱い部分が壊れれば鎖は切れてしまいます。この、一番弱い部分が制約条件です。
製造過程で言えば、工程のうちで遅い部分があれば、その部分が一番時間がかかるわけであり、それを改善する必要があるのです。考えてみれば当然のことです。そして、この一番弱い部分を改善するということは、なにも製造業に限ったものでなく、多くの仕事に応用できる考え方です。








TOC理論は制約条件だけじゃない
TOCは直訳すれば制約条件の理論ですが、TOCは体系的に他の理論も含んでいます。経常利益でなくスループット(売上高から資財費を引いたもの)で考える、問題点をみつけ改善していく思考プロセスなどです。TOCのこれらの考え方は、当書の終わりのほうで短くまとめられています。本の中では”TOCの手法はときに非常識と言われる”と書かれていますが、私にはすんなりと受け入れられました。この本の発行が2002年、今現在TOCの考え方は当時よりもかなり浸透してきているのだろうと思います。









プロジェクトXを思い起こさせる3社の実例
当書のタイトルにもある通り、当書はTOCを実践した会社の実例を紹介するものです。初めに紹介される2社は、TOCを行うにあたりさまざまな困難にぶち当たり、それを乗り越えていくさまがありありと述べられており、NHKのとある名作番組を彷彿とさせられます。次が気になるというか、読んでいておもしろいので、さくさく読めます
3番目に紹介される会社の事例は、成功に至るまでにどのような手順でTOCを実践したのかが述べられます。この3番目の事例は、実際にTOCを行う場合の参考になります。ちなみに紹介されている3社はどれも中小企業などでなく、有名な大手の会社の工場です。









◎私への影響
仕事をしていて感じているのは、まわりの人はかなり経常利益を気にしているということです。しかしこのことについて、在庫を管理している私としては違和感があります。経常利益だけでみると、在庫は悪と言い切れないのです。



在庫は作れば棚卸資産となるので、損はしません。むしろ工場では余ってでも見かけの生産を上げるため作れ、と考える可能性があります。また、在庫を何年も持っていると棚卸資産評価損が生じますが、これもよく考えれば変な話です。現金が動いたわけではないのに簿価としての価値は下がるのです。現金が動いたのは製品を作ったときなので、真の悪は評価損が生じた時点ではなく、売れもしない商品を製造したそのときにあるはずです。



そこで、TOCでは経常利益至上主義を否定しています。私はこの考え方に大いに賛成です。経常利益は会計計算上の指標であり、製品を生産するのに適した考えではないのです。しかし、この考えかたはまだまだうちの会社では受け入れられそうにありません。






◎その他
これとは別に、私が在庫に関して読んだ本をもうひとつ紹介しておきます。

在庫管理の実際 (日経文庫)

在庫管理の実際 (日経文庫)

1991年出版と古い本ですが、在庫管理全体について広く書かれており、また、一貫して在庫は悪という考え方が貫かれているのが参考になります。ただ、実務的な側面が強いので一般の方が読んでも興味は引かないと思います。私のように在庫管理の仕事に就いた方は、読んでみてください。