神社に行く

神社が好きなので、行った先の写真をアップします!

日本経済はなぜ不況なのか

今さらと思われるかもしれませんが、この本の紹介です。




デフレの正体  経済は「人口の波」で動く (角川oneテーマ21)

デフレの正体 経済は「人口の波」で動く (角川oneテーマ21)



デフレの正体
 経済は「人口の波」で動く
藻谷 浩介 角川oneテーマ21文庫
724円+税





◎読んだ理由
友人の勧めで読みました。友人と経済の話をしていて、
バブル崩壊以降の失われた10年でも日本の輸出は増えている”、
日本の新車販売台数が減少傾向なのは世界同時不況前からのことである
といったことを言われました。詳しいね、どこで情報を得たの、と尋ねたところ、当書の名前が挙がったので、早速読んでみることにしました。






◎当書の内容






○経済は人口の波で動く
当書の内容をひとことで表しているのが副題であるこの言葉、
経済は人口の波で動く”。
当書では、経済は確かに好況不況があるが、特に日本の場合は景気を大きく左右しているのが”生産年齢人口”だ、というのです。生産年齢人口とは、人口の中でも15歳から65歳までの人口のことです。働いてお給金がもらえる人たちですね。例えば、新車販売台数の減少は、世界不況後に盛んに言われるようになったのですが、世界同時不況がなくとも日本の生産年齢人口が減っていくのですから新車の販売台数も減って当然です。当書では”経済は人口の波で動く”ということを、データをしっかりと示して説明してくれます。







○入り混じる1人当たりと絶対値の指標
新車販売台数の減少で気付かされるのが、日本では絶対値で示される指標と1人あたりで示される指標があるということです。1人あたりで示される指標の例は有効求人倍率がありますが、これは日本独特の指標で、アメリカでは仕事に就いている人の絶対数でみるのだそうです。新車販売台数も絶対額では減少傾向ですが、日本人1人あたりに対する車の台数でみれば減少傾向ではないかもしれません。データを見るときに、それが絶対値か1人あたりの指標か、気を付けてみなくてはなりません。







○皮肉まじりの文面にちょっぴり反感
当書では、”〜ですかね”や”〜だというのに”といった皮肉めいた表現が目に付きます。講演を基調とした本なので話し言葉で書かれていることもあるのですが、”経済は人口の波で動く”という説を述べてきて相当周囲から批判されてきたことも1つの理由でしょう。「私はちゃんとデータを示しているのに周囲は取り合ってくれない」、という不満が文面に表れているのではないか、と私は思うのです。しかし、その皮肉めいた表現を読んでいると、こちらも著者に反感を抱いてしまいがちです。そこをこらえて、1つの正当な主張として当書を読みたいところです。







また、新書なので読みやすいかと思いきや、なかなか読み進まない感がありました。当書に書かれている内容を理解するために読書嫌いの人も初めの第1〜5講くらいまでは読みたいところです。おおむねここまで読めば当書の伝えたいことがわかると思います。







◎私への影響
経済を考えるときに、人口の影響を気にするようになりました。特に中国経済、現在の1人っ子政策を考えれば何十年後かに必ずバブルがはじけます。今は飛ぶ鳥を落とす勢いで報じられる中国にも、このような弱点があるのです。





また、当書では船中八策と称して日本経済への対策も示されます。これは著者からの提案で、今後より深い議論が期待されるところですが、その中に私が大いに賛同できるものがありました。それは、”生産年齢人口を増やすためには女性をもっと社会進出させるべきだ、現在専業主婦が担っている役割は今後退職した高齢者が取って代わることで補う”というものです。夫婦が共に働きに出て、家のことはおじいちゃんおばあちゃんが面倒を見る、これがこれからの新しい家族スタイルとなるでしょう。若者の給料の観点から見ても、日本経済の観点からしても、女性が働かなければ立ち行かない、私はそう感じています。






◎その他
最近、仕事が忙しくてブログの更新が滞りがちです。定期的に見に来ていただいている方がいれば、申し訳なく思います。