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勉強はこういった心構えでやりなさい!

冒頭部分が有名なのですが、冒頭部分では語りきれない内容の本です。






学問のすすめ 現代語訳 (ちくま新書)

学問のすすめ 現代語訳 (ちくま新書)





現代語訳学問のすすめ
福澤諭吉 著、斉藤孝 訳
ちくま新書、760円+税





◎読んだ理由
読んだ人から、良かったよ、と紹介を受け読むことにしました。冒頭部分は知ってるんですよね。「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず」。だから勉強しなさい、というのだけは知っていました。






◎本の内容






学問のすすめ=学問の指南書
読んでみてわかったのは、「学問のすすめ」は”学問の指南書”であるということです。第1章で、有名な冒頭は部分は次のようにつながります。

天は皆に平等に生を与える→ではどうして賢愚の差があるのか→学問をするかどうかによる→その学問の中でも一生懸命やるべきは実学だ。

学問のすすめは、”皆平等である、だから勉強しなさい”とただがむしゃらに勉強の必要性を説いたのではなく、どのような心構えで勉強するべきか、どのような学問を学ぶべきか、を私たちに伝えています。”学問のすすめ”と言われるとなんだかピンときませんが、”学問の指南書”と言われれば、巷に溢れていますよね。よく本屋で見かけるのは”大学では何を学ぶべきか”といったタイトルですが、そういう本かと思うとなんだか身近に感じられませんか。






○現代にも通じる内容
読んでいて素晴らしいと思ったのは、この内容が現代日本にも十分通じるものだということです。例を出すと、
ひどい政府は愚かな民が作る→政府が厳しいのは、民が自ら招いた災いであり、良い民の上には良い政府がある
・日本人として外国人と競え→明治になっていろいろな自由が可能となった。しかし、これを日本国内だけで競争するのではなく、国内外を見渡し外国人を相手としなくてはならない
・文明は疑いが進歩させる→世間で当たり前とされていることも、実は俗説を信じているだけかもしれない。ものごとの働きの元を知り、真理を探究しなくてはならない。
・交際はどんどん広げよ→大任を受けるものは、人望のある人である。関心を広く持ち、交際を広げよ。自己アピールには見た目も重要である。
どうですか。最もな内容だと思いませんか。







○まとめると
まとめると、当書は明治期において国民全体に向けて書かれた自己啓発本なのです。そして内容が基礎的であるがゆえに、どの時代・どの国においても通用するものになっています。また、グローバル化が現代において叫ばれていますが、明治期においてもグローバル化は重要な課題であったことがわかります。これらの内容を、福澤諭吉が物怖じしない物言いで豪快に言ってのける様は、すがすがしくもあります。この書物が、明治期に書かれた古典とだけの認識のまま埋もれていってしまうのはもったいないことです。現代語訳は当書以外にも何冊か出ているようですし、また、原文で読みたい、という方もいらっしゃると思います。どのような形であれ、一度は読んでおきたい本だと思います。






◎私への影響
当書の中では、行動することの重要性も説かれています。特に個にとらわれずに、公につくす、という趣向があります。私も、自分個人にとらわれず、世のためにできることはないだろうか。ボランティアのような小さな動きからでもいいので、何かやってみよう、と感じさせられました。









◎その他
時代背景として、明治期の日本においてなんとか独立国家としての日本を保とう、日本を力のある国にしていこう、という意思が本全体から感じ取ることができます。また、きっと当書だけでなく当時の日本全体がそういう気概だったのでしょう。ところで、そういう気概を持つべきなのは、日本に限られないはずです。たとえば経済的に貧しいと言われるアジアの国々、軍事問題で国が停滞するアフリカの国、今まさに民主主義が花開こうとしているアラブの国々、こういった人たちにとっても当書は有効なのではないでしょうか。しっかり調べてはいないのですが、当書には外国語訳がないようです。これから発展しようとしていく国々の言葉で学問のすすめが書かれ、その国の人たちに読まれる機会があれば、どんなに良いだろうか、と思います(ちょうど現代語訳のおかげで私たちにも当書が読めるようになったように)。英語訳すらないようですので、プロジェクトを組んで作ってみる、といいと思います。